NFTに興味を持った人であれば、CryptoPunksやBored Ape Yacht Clubといった名前を聞いたことがあるかもしれません。コレクティブルと呼ばれるジャンルの中では有名な作品シリーズで、大変な高値で売買がされています。この記事ではコレクティブルって何なの?という方向けに定義やどういうコレクティブルがあるかなどについて説明してみたいと思います。
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コレクティブルNFT?
人間がまたややこしいものを生み出したようじゃの。
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何じゃ、神。コレクティブルも知らんのか。
わしが教えてやろうか。
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コレクティブルぐらい、し、し、しし…
知らんわ。
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知らんのかーーーーーいっ!
コレクティブルとはNFT作品のシリーズのこと!
コレクティブル(英語では、”Collectible”)を、日本語に訳すと「収集に値する品物、コレクターズアイテム」となります。現実の世界でもコレクターと呼ばれる人たちが自分が愛してやまない品々を熱心に集めています。これをインターネットの世界で可能にしたのがNFTそのものです。NFTによって、デジタルデータ(アート作品や音楽などデジタルで表現できるものは何でも)に収集する価値が生まれました。
これらのうち、特定のテーマをもった作品シリーズのことをコレクティブルと呼んでいます(複数以上のデジタル作品からなる作品群)。
NFT界隈で最も有名なコレクティブルはおそらくCryptoPunksでしょう。CryptoPunksはMatt Hall, Jonh Watkinsonらによって2017年に作られた作品シリーズで、24ピクセルx24ピクセルで表現される人物を描いたドット絵です。これらは、AIによって作られたアートで10000点からなるコレクティブルです。
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ブロックチェーン・スタートアップ企業のCEOにより8000ETH(当時約2370万ドル)で買われたNFT作品"
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ブロックチェーン・スタートアップ企業のCEOにより8000ETH(当時約2370万ドル)で買われたNFT作品"
ブロックチェーン・スタートアップ企業のCEOにより8000ETH(当時約2370万ドル)で買われたNFT作品
最も高いものは、#5822(CryptoPunks内のナンバリング)で2370万ドルで売買されたことで一躍作品、そしてNFTそのものも有名にした、まさにNFT初期の現在を代表するコレクティブルです。
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たかが絵がなぜここまで高く売買されるんじゃ?
コピーしてしまいやん。アホちゃう。
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NFTに”所有権”が含まれるからじゃ。コピーできることと所有できることは違うんじゃよ。詳しくは、NFTについて解説した記事も読むがいい。
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有名なコレクティブルは、CryptoPunksだけではないぞ。
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ふむ、他にどんな作品があるんじゃ?
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よし、他の有名作品も見て見るかのう。
有名なNFTのコレクティブル(注目作品シリーズ)はどんなものがあるか
Bored Ape Yacht Club (BAYC)
Yuga Labsによって、2021年4月に開発された”退屈そうな猿”をモチーフとしたコレクティブルで、CryptoPunksと同じように10000点からなる作品シリーズです。BAYCの特徴は、所有作品を購入者が商用利用が可能である点や購入者限定のクローズドなコミュニティがある点です。当初は100ドルあまりで売買されていましたが、今や数百万ドルで売買されているものもあり、価格が高騰しています。マドンナやジャスティン・ビーバーなどの著名人によって所有されていることも知らているコレクティブルです。
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有名なオークションハウス・サザビーズで340万ドルのビッドをつけた"
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有名なオークションハウス・サザビーズで340万ドルのビッドをつけた"
有名なオークションハウス・サザビーズで340万ドルのビッドをつけた
公式ページには、以下のような記述があり、単なる作品ではなく、デジタルの世界での会員証のような役割があり、また会員証を通じてできることが今後も増えていくことが示唆されています。
Bored Apeはヨットクラブの会員証にもなり、所有者は会員限定の特典にアクセスすることができます。その第一弾が落書きボード「THE BATHROOM」です。今後のエリアや特典は、ロードマップ実現のたびにコミュニティを通して追加されていきます。
BAYCのホームページより(一部意訳)
Mutant Ape Yacht Club (MAYC)
BAYCには、MAYC(Mutant* Ape Yacht Club)という、BAYCから派生した関連作品シリーズがあります。2021年8月21日にBAYC保有者に3種類のいずれかのSerum(血清)が配布**されました。これは次のようなルールで新しいNFT作品を生むことができる、という仕組みでした。
<MAYCのルール>
- Serum(血清)は一度だけ利用することができる(一度利用すると消えてしまう)
- レアリティはM1、M2、M3の3種類があり、M3が一番レア度が高い
- M1とM2のSerumからは元のBAYCの形をベースとしたMAYCが新しく作られる
- M3のSerumからは、元のBAYCの形とは関係ない、全く新しいMAYCが作られる
(”Who knows?” つまり、M3のSerumで何が生まれるかは、製作者さえも知らない)
* Mutantとは”突然変異”という意味の英語です。血清を与えることで突然変異してできたのがMAYCということのようです
** NFT界隈では無償で提供されることを”エアドロップ”、新しいNFTがリリースされることを”ドロップ”と呼んでいます
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2021年8月29日に350ETHで売買された(当時レートで約110万ドル)"
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2021年8月29日に350ETHで売買された(当時レートで約110万ドル)"
2021年8月29日に350ETHで売買された(当時レートで約110万ドル)
Art Blocks
Art BlocksはErick Calderonによって作られたNFT作品のためのプラットフォームで、主に、プログラムで生成された作品にフォーカスしてます。コレクターは自分が好みのスタイルを選択して、購入すると、その際にプログラムがそのスタイルに合った作品をランダムな要素を加えて作ります***。
アーティストとコレクターが共生することによって作品を完成させるという点に特徴がある作品群になっています。
*** このようなプログラムが自動生成する分野は、”ジェネラティブ・アート(Generative Art)”と呼ばれています。
この記事を書いた2022年7月時点で203名のアーティストがこのプラットフォームに参加しています。
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2021年10月2日に2100ETHで売買された(当時レート約710万ドル)"
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2021年10月2日に2100ETHで売買された(当時レート約710万ドル)"
2021年10月2日に2100ETHで売買された(当時レート約710万ドル)
Clone X
世界的に有名な芸術家の村上隆氏とヴァーチャルスニーカー・メーカーのRTFKT(アーティファクト)がコラボレーションして制作されたコレクティブルです。メタバースに対応したアバター作品で、20000点の作品(”クローン”)が発表されています。人間(50%)、ロボット(30%)、天使(8.75%)、悪魔(8.75%)、爬虫類(1.25%)、アンデッド(0.6%)、村上(0.5%)、エイリアン(0.15%)の8種類があります。最もレア度が高いのはエイリアンの0.15%のようですね。
CLONE X社は、りゅう座にある惑星オービターからやってきた3人の地球外生命体によって設立された。この惑星旅行者は、非物質的な存在への進化を加速させるためにやってきた。彼らは、すべての人間の意識を高度なクローン形態に移し、究極のメタヴァースを創造することを計画している。
この高度な文明では、人間はもはや有機的な形態ではなく、デジタルなCloneXアバターによって表現される。この画期的なテクノロジーは、カスタマイズ可能なアバターアイデンティティを通じて、ホモサピエンスの自己表現能力に革命を起こしました。この技術により、クローンは銀河系を旅し、新しい銀河やシミュレーションに文明を広げることができるようになりました。
Clone Xのホームページより(一部意訳)
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2022年2月2日に450ETHで売買された(当時レート約120万ドル)"
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2022年2月2日に450ETHで売買された(当時レート約120万ドル)"
2022年2月2日に450ETHで売買された(当時レート約120万ドル)
それぞれのクローンには2種類のライセンスのいづれかが付与されています。一つは商用利用はできないがカスタマイズが自由なもの(全体の15%)、もう一つは100万ドルまでの商用利用ができるもの(全体の85%)です。
また、メタバースプラットフォームのSandboxとの提携を発表するなど、保有者はこのアバターをメタバース空間で利用することができるようになります。
他にもクローンが身につけるもののドロップを予定するなどClone X独自の面白いロードマップが計画されており、今後にも注目したいコレクティブルです。
Loot (for Adventurers)
Vineの共同創業者のDom Hofmann氏によってつくられたNFTで、英語の8つのテキストから構成されるバッグ8000点がローンチ当初無料で配布されました(ガス代を除く)。この8つのテキストは武器、胸、頭、腰、足、手、首(に身につける装備)、指輪をそれぞれ示していて、まるでRPGゲームの装備を思わせるものになっています。
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頭、腰、足、手、指輪がすべて一つしかないレアな構成のバッグとなっている
現保有者が1888.88ETHの値付けをしていると見られる(売買された記録はない模様)"
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頭、腰、足、手、指輪がすべて一つしかないレアな構成のバッグとなっている
現保有者が1888.88ETHの値付けをしていると見られる(売買された記録はない模様)"
頭、腰、足、手、指輪がすべて一つしかないレアな構成のバッグとなっている
現保有者が1888.88ETHの値付けをしていると見られる(売買された記録はない模様)
製作者は、テキストのみを当初ローンチし、画像やその他の機能については、コミュニティ主導で作られることを意図しているようです。この意図の通りに、実際に多数の興味深い派生プロジェクトができ、これらの派生プロジェクトを含めた全体がLootのエコシステムを形成しています。いくつかのプロジェクトを紹介してみたいと思います。
<プロジェクトの例>
- $AGLD(Adventure Gold):Lootの暗号通貨で、ゲーム内通貨としての利用(バッグの購入等)やLootのコミュニティ内での投票券やガバナンストークンとしての役割もあります。当初Loot NFT保有者につき10000AGLDが配布されました。
- Role:Lootは装備品、Roleは装備品をまとうキャラクターで、Loot NFT保持者にRoleを与えるというものです。
- Realms:冒険者が冒険する領土を作るというプロジェクトで、Loot保有者は、領土のNFTを作ることができます。
- Bibliotheca:既に80以上もある派生プロジェクトの中からコミュニティの投票でLoot公式のもの****を決めるプロジェクトです。Loot、$AGLD、Realmsが採用されています
**** 公式というのは意訳です(正確には多数あるもののうち特定のものに絞ってこのプロジェクトで一体として”クエリー”できるようにする、といった意味です)
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Azuki, Hashmasks, Kawaii Skull等々、他にもまだまだ面白いコレクティブルがあるから注目じゃな。
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2022年2月14日に204ETHで売買された(当時レート約59万ドル)"
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2022年2月14日に204ETHで売買された(当時レート約59万ドル)"
2022年2月14日に204ETHで売買された(当時レート約59万ドル)
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単なるデジタルアートの所有だけではなく、付随する機能があるものが多そうじゃのう。
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そうなんじゃよ。アート以外にも重要視される部分があるぞ。
最後にそれについて触れてみようかの。
コレクティブルはどう評価すればよいのか
ロードマップを描いているか
これまで見てきたコレクティブルの多くに共通するポイントの一つは、ロードマップを描いている、という点にあります。つまり、単なるデジタルアート作品としてだけではなく、他の付随機能を提供することによって、作品の価値を高めています。たとえば、NFTの所有者のみが参加できるコミュニティがある、などです。(多くのセレブに保有されているNFT作品を自分も持つことによって、セレブたちと同じコミュニティに参加できる!といったことを考える人もいるのではないでしょうか。)
Kawaii Skullの製作者KawaiiSkull氏は、伊藤穰一氏とのインタビューの中で、コミュニティを維持していく必要がある点や当初、コミュニティからのクレームとして、なぜロードマップがないのか、なぜ何もしないのか等を尋ねられたと言っています(インタビュー動画)。コレクティブルを作る側になった場合、ロードマップを描くという点を意識すると成功しやすくなりそうです。
ロードマップの実現性があるか
NFT作品そのものだけではなく、付随する価値が重要なのは前述のとおりです。その意味では、将来どういう価値が提供されていくか、そして、その価値が確実に実現されるかどうかが重要になりそうです。
例えば、Lootのようにコミュニティが活発で、作品の周辺部分がどんどん作られていき、コレクティブルが拡張していく、もしくは、Clone Xのように、製作陣が強力でロードマップの実現性が確からしそうなどです。アート作品それ自体だけではなく、こういった拡張性によってもたらされるワクワク感も含めてNFTを購入したいという人がいるのだと思います。
コンセプトや世界観に独自性があるか
人気、ひいてはコミュニティの活発さを構成するものとしては、コンセプトや世界観の独自性もポイントとなり得ます。Lootは作品自体は単なるテキストですが、そのコンセプトの面白さから人気を博しています。また、BAYCは”血清”を”ドロップ”するということによって独自の価値を付加しています。
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今回はこのくらいにしておくかのう。
コレクティブルのことは理解できたかの?
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ええ、よくわかりましてよ。
ロードマップも含めてワクワクできるコレクティブルを探すつもりですわ。
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そう、そういうことなんじゃよ。
・・・って、お主、何者じゃ?
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ホーホッホッホ、あたくしが誰かですって。
それは次回のお楽しみですわ。
(続く)
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