有名な取引所の一つであるFTXはチャプター11(米連邦破産法11条)を申請しました。同社は預かり顧客資産を関連会社(Alameda Research)の経費にあてるなど不正な資金流用をしたと見られています。FTXの経営破綻から創業者のサム・バンクマン・フリード(SBF)がハバナで逮捕されるまでの経緯を過程をまとめます。
何があったのか(時系列)
流動性懸念からバイナンスがFTT(FTXのトークン)を売却する方針を明らかに
関連会社のアラメダの財務懸念(資産の約4割と負債の一部がFTTで構成)
その後、FTTの価格が急落し、顧客の資金引き出しが急増
FTXの資金繰り問題に対しての救済措置として、バイナンスがFTX買収で合意
FTXのデューデリジェンスを行った結果、買収を撤回
「今回の問題は我々の手に負えないものだ」
ビットコイン15%の下落(1.6万ドルを割る)
Chapter11申請
顧客資産は160億ドルにのぼると見られる
FTXからアラメダに対しては、100億ドルの融資(大半が顧客資産)
新しくJohn J RayがCEOに(エンロンなど経営破綻企業を清算・再建した経歴のあるスペシャリスト)
公表後、ビットコイン、Ethereumが5%低下
バハマ警察当局が捜査を開始
仮想通貨の引き出しが加速
保有資産の開示等の投資家への説明を各社図るも、引き出しが加速した
特に透明性のない交換所(登記の場所、裏付け資産の価値)を避ける傾向が顕に
大谷選手、大坂なおみ選手等広告塔であった有名スポーツ選手への投資家による提訴
バイナンスが業界支援として10億ドルを拠出
ブロックファイが破綻
融資業。預金のような形で個人から募った仮想通貨を裁定取引などで利ざやを増やすやり方で高い利回りを提供。
交換業に預け入れているため、交換業の破綻に影響を受けた形で破綻
SBF逮捕
SBFを提訴、詐欺やマネーロンダリング等の8つの罪状
今後の見通し
バイナンス一強に?
各コインが大きく下げている中、バイナンスは7%安に留まっています。仮想通貨は冬の時代になることが考えられる一方で、あぶれた顧客の吸収するなどバイナンスにとってはチャンスともなり得るでしょう。今回の騒動でFTXとは逆に堅実な印象を与えているとも言えそうです。
規制が強まる
準備中の法案が仮に通っていれば、今回のFTXの件は違法とみなされた可能性が高いという意見もあります。今後は、取引業者の開示の強化、十分な準備金を有すること、当局による監督体制の強化、仮想通貨の法的な位置づけの明確化などが強く推進されることが予測されます。
連鎖破綻の懸念
すでに連鎖破綻の影響を受けている企業もあります。例えば、11/30にChapter 11を申請したブロックファイがその一例です。交換業を生業とする企業の破綻はお金の取引を有している周囲の企業にも影響を及ぼします。
仮想通貨へのVC投資が減る
本件を始めとする仮想通貨での事件は、しばらく仮想通貨への投資を減退させるものとなりそうです。欲をかいたものが手痛いしっぺ返しを受けた形です。投機的な動きは減り、仮想通貨が残るとすれば、本当に実用的で社会にとって意義がるものとして再起が図られるものと予想しています。
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