2008年10月、サトシ・ナカモトという人物がビットコインの仕組みを論文として発表し、2009年には、これを実用化した世界初の仮想通貨であるビットコインの運用が開始されました。その後、多くの仮想通貨が開発され、2022年現在では、2万を超える種類が発表されています。
あまたある仮想通貨の中から、今現在で主流となりつつあり、また特徴的な面白さをもつ銘柄について紹介してみたいと思います。(2022年9月現在の時価総額順、一部ペグ通貨は除いて記載しています)
うぅっ・・・もうだめぽ
どうしたんじゃ、貧乏神よ。
今月も金欠なんじゃ。何かこうぱっと稼げるものはないんか。
そうじゃな。投資の世界で近年熱いのは仮想通貨じゃろう。
リスクもあるが、試してみるのも一興じゃ。
仮想通貨とは
仮想通貨とは、銀行等の金融機関を経由せず、参加者同士の直接の決済を可能とするデジタル通貨のことで、暗号通貨とも呼ばれます。これまでの送金は金融機関を介して、行う必要がありました。金融機関では、各社の勘定系システムや会社間の決済システムなど膨大なIT設備によってデジタルでのやり取りを可能としていました。加えて、業務を行う人的リソースが必要となるなど、コストのかかる仕組みでした。
ブロックチェーンの仕組みによって、巨大な銀行・決済システムを用いずともブロックチェーン・ネットワークに参加する者同士でより低コストでありながら、安全に決済ができることを目指し、またそれを実現している仮想通貨も存在します。
他にもいくつかの特徴があります。例えば、金融機関経由の決済が個人情報を信頼できる組織が正しく管理できることを前提としている(信頼している)のに対して、仮想通貨の決済では、そもそもアドレス情報のみの場合が多く、個人情報を晒す必要性がありません。また、dApps(分散型アプリケーション)を開発・展開するための基盤としても用いられています。
ふむふむ、なるほどな、って!そんなことより、金は稼げるんか(# ゚Д゚)
どうじゃろな。未来を変える可能性があるものに人は金を投じたくなるものじゃ。
それが当たれば、儲かる!かもしれんのう。
主要なコインを見てみるかの。その中にあるかもしれん!
仮想通貨の種類
BTC – ビットコイン / Bitcoin
ビットコインは、サトシ・ナカモトの論文をもとに開発された世界初の仮想通貨で、経済を円滑に回すことを目的に作られたコインです。上記で述べたような特徴を初めて実現しました。ビットコインに参加するマイナーと呼ばれるデータ維持(決済データの書き込み)に貢献する参加者が、PoW(Proof-of-Work=計算の証)と呼ばれる、計算のお仕事を提供することの代わりに報酬を受け取るという仕組みによって、ネットワークの維持を実現しています。
現在の仮想通貨には、主として、PoWとPoSの2つのコンセンサスアルゴリズムがあります(他にもいくつかありますが、主たるものはこの2つです)。ビットコインはPoWを採用している仮想通貨です。
ETH – イーサリアム / Ethereum
イーサリアムは、ビットコインのようなデジタル通貨としての決済機能以外にアプリケーション実行の基盤としても機能する仮想通貨です。これは、EVM(Ethereum Virtual Machine)と呼ばれるもので、ビットコインのネットワークが単純な分散台帳としての機能を提供しているのに対して、より高度な機能を持っています。具体的には、スマートコントラクトと呼ばれるコードの実行がこの基盤上で可能で、それによって、分散アプリケーション(dApps)が開発・サービス化されています。
イーサリアムと言えば、ガス代問題があります。ガス代問題とは、決済を行うための手数料が高いことで、多くの他の仮想通貨はこの問題を回避するための実装を行っています。また、処理できるトランザクション数が少ないというのも欠点の一つです。
2022年9月15日に”The Merge”と呼ばれる、大規模な変更が予定されており、この変更では、PoWからPoSへ移行する予定で、大変注目を集めています(より正確には、既に稼働しているBeacon Chainと呼ばれるPoSベースのブロックチェーン・ネットワークに移行する措置)。
9/15追記:マージは無事完了しました。12分ほどでさほど影響を及ぼさなかったようです。
USDT – テザー / US Dollar Tether
USドルと1:1の交換比率(ペッグ制)となっていることから、ステーブルコイン(安定した通貨)と呼ばれます。USドルのペッグ通貨の代表例で、その中では時価総額1位(2022年9月時点)となっています。多数のブロックチェーンでサポートされていることも特徴的です。USDTトークンを発行する際に、同価値のUSドルをTether社が保持することにより、1:1の価値を維持しています。
多くの仮想通貨のボラティリティ(価格の乱高下)が高いことを考えると、一時的にUSDTにしておくことにより下落時に一時的に退避させる、といった使い方が可能になります。また、純粋に送金する手段としての有効性もあります。こういったユースケースの高さから人気を博しています。
Tether社によって提供されているコインで、USDT以外に、EURT(ユーロ)、GBPT(ポンド)、MXNT(メキシコペソ)、CNHT(元)といったペッグ通貨があります。
BNB – バイナンス / Binance
世界最大の仮想通貨取引所であるバイナンスの発行している仮想通貨で、イーサリアムとの互換性を持っておりながら、ガス代が低く、ネットワークのパフォーマンスが良いという特徴を持ちます。これだけでバイナンスの方が優れているとまでは言えませんが、イーサネット・キラーと呼ばれることがあります。また、決済のみならず、イーサリアム同様にスマートコントラクトの実行を行う基盤を備えています。
バイナンスでは、不定期に(自動的に)コインの消却を行うことによって、全体の供給量を調整し、価格の維持を行っています。特徴的な点として、BNBを持っている場合に取引所のサービスの恩恵を受けることができるというところがあります。例えば、手数料の割引、ステーキングにおける収益、IEO(Initial Exchange Offering)に参加する権利が得られる等です。
分散型アプリケーション(dApps)では、PancakeSwapが有名です。ユーザーはPancakeSwapにコインを預け入れることで、手数料を得ることができます。ユーザーが預け入れることによって、流動性を作ることができ、交換サービスを提供することができます(DEX = Decentralized Exchange、分散型取引所)。つまり、手数料は流動性を提供してくれている人(LP = Liquidity Provider)への”お礼”です(Yiled Farming、イールドファーミング)。
XRP – リップル / Ripple
既存の金融システムでは、Swiftによって国際送金を実現しています。そもそも金融機関や決済ネットワークが必要であったり、決済に介在するそれぞれの銀行で手数料が必要だったりと、高コストな仕組みで成り立っています。また、送金に数営業日以上かかるなどの課題もあります。リップルのプロジェクトの目的の一つは送金の効率化であり、とても実用的なユースケースです。
仮想通貨には数えられるものの、ブロックチェーンを利用しておらず、XRP Ledgerという独自の分散台帳の仕組みを実装しています。また、コンセンサスアルゴリズムもここまでで登場したPoWやPoSとは異なる、PoCという仕組みです。
CBDC(Central Bank Digital Currency = 中央銀行発行のデジタル通貨)のためのソリューションも提供しています。CBDCは各国のデジタル通貨に相当し、各国通貨ネットワークの間をXRPがつなぐことによって、グローバル経済をデジタル化することを目標にしており、非常に興味深いソリューションです。
多くの金融機関との提携(日本で言えばMUFGやSBIなど)をしており、プロジェクト目的が実用的な点においていることもあるため、大きな期待が寄せられている銘柄の一つです。
現在、係争中の訴訟があり、裁判の動向が注視されています。
ADA – カルダノ / Cardano
イーサリアムの代替となることを目標として、イーサリアムの共同創業者によって2017年にローンチされたのがカルダノです。イーサリアムを含むブロックチェーンが持っていた本質的な課題として、スケーラビリティ、相互運用性(インターオペラビリティ)、持続可能性(サステイナビリティ)があり、これらの課題を解決することに力を注いでいます。
カルダノでは、コンセンサスアルゴリズムとしてPoSが採用されています(ウロボロス(Uroboros)と呼ばれています)。ステークするユーザーに対しての報酬にADAが支払われます。
2021年9月のアップデートによりスマートコントラクトの機能が利用可能になっています。
SOL – ソラナ / Solana
イーサリアムには主に2つの課題があります。1つは、処理に時間がかかること(処理できるトランザクション数が少ない)、もう1つは、処理にかかる手数料が高いこと(ガス代が高い)です。ソラナはこれらの課題の解決に主眼をおいており、処理数量であれば、1秒あたり50000(イーサリアムが15、既存のクレジットカードのVisaの場合で65000)の処理が可能で、手数料も1処理あたり平均0.00025ドルと安価です。
イーサリアムやビットコインの場合、上記の処理能力の問題をL2ネットワーク(ブロックチェーンの外で取引し、その取引の最初と最後、つまり結果だけをブロックチェーン内に書き込むことで処理能力を高める手法)も利用することで解決しようとしていますが、ソラナの場合、L1ネットワークだけで完結します。
上記の2つの利点があることから様々な企業がソラナ上でのdApps開発に参入しており、大きなエコシステムを形成しています。有名な分散型アプリケーションとしては、move to earnゲームとして有名になりつつあるStepNがあります。他にもAudius(音楽)、StarAtlas(ゲーム)、Raydium(DeFi)など期待値の高いアプリケーションがソラナをプラットフォームとしています。
利点の一方で課題もあります。過去に何度かダウンタイムが発生していたり、直近2022年8月にはソラナに接続されている約8000アカウント分のウォレット(Slope、Phantom等のウォレット)がハッキングされるなどのインシデントも発生しています(具体的な原因は不明瞭なようです)。
DOT – ポルカドット / Polkadot
複数のブロックチェーンネットワーク感の相互接続性を重視して作られている仮想通貨がポルカドットです。最も特徴的な点として、カスタムのブロックチェーン(parachain = パラチェーン )をすぐに作れる点にあります。作ったブロックチェーンはポルカドットのエコシステムの中で相互接続性を有しており、またデフォルトでセキュリティにも配慮されています。異なるブロックチェーン間のコミュニケーションのための仕様及び言語(XCM)を定めるなど相互接続性を非常に重視しています。
ポルカドットは、トークンのみならず、あらゆるデータを扱うことができるという点も特徴的です。このような特徴から特定用途のためのカスタムなブロックチェーンを構築する手段として優れています。これまでに紹介した仮想通貨銘柄が同一のブロックチェーン・ネットワーク上で分散型アプリケーション(dApps)を開発することで多様な用途を実現しようとしていたのとは異なるアプローチを採用しています。
MATIC – ポリゴン / Polygon
ポリゴンは、イーサリアムとの互換性(プロトコルやEVMの互換性)があるブロックチェーン・ネットワークです。言い換えると、イーサリアムのL2ネットワーク(イーサリアムの外で処理をする:ソラナの項参照のこと。)にあたり、イーサリアムの処理能力の課題を解決するためのソリューションといえます。
おおよそイーサリアムの1万分の1の低いガス代(0.002ドル以下)であり、また、1秒あたり7000トランザクションと高速な処理能力を誇ります。他の仮想通貨にも見るように、イーサリアムの重要な課題を解決しており、その結果として、多くのdAppsがポリゴン上で作られています。
代表的なものとしては、DEX(分散型取引所)として有名なUniswapがあります。イーサリアムの手数料の高さが問題となったことから、ポリゴンを採用したようです。
L2ネットワークを見る場合には、L1ネットワークの動向にも注目が必要となるでしょう。イーサリアムはそのロードマップで今ある諸問題の解決を図ろうとしています(スケーラビリティやガス代の問題)。イーサリアムのマイルストーン達成とともに、これらのL2ネットワークの重要性は低くなる可能性があります。
AVAX – アバランチ / Avalanche
アバランチは、これまで見てきた仮想通貨と同様に、イーサリアムの課題である処理能力とガス代の問題を解決しているブロックチェーン・ネットワークです。その処理量は1秒あたり約4500、ガス代についても非常に安価なようです(前者は公式な数値ではありません)。イーサリアムとの互換性があり、スマートコントラクトを記述する言語もSolidity(イーサリアムと同一)なので、dAppsの移行の容易性もあります。
アバランチコンセンサスと呼ばれる方法をコンセンサスアルゴリズムとして利用しており、これにPoSを組み合わせた形にしており、非常に高い分散性と高速な処理を実現しています。
また、カスタムのブロックチェーン・ネットワークを構築することが可能です。これは他の仮想通貨で見るのと同様に、それぞれの目的に合わせたブロックチェーンの構築が可能ということになります。
こう見ると仮想通貨毎に特色があるもんじゃな。
そうじゃな。第3世代と言われる仮想通貨が目指す方向性は近しいが、その中でもどこにサービスの特徴を出すか、どうエコシステムを拡大させるかは戦略の違いがあるようじゃ。
ふむ。わしは、あの通貨に全財産ぶっこむつもりじゃ。ふふふっ。
(そんな賭け方するから金がなくなるんじゃ…)
まぁ、ほどほどにな。
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